アオヤマ日記

男子大学生がTwitterでは伝えきれないこと、ふと心に浮かんだことなどをゆる~く書いていこうと思います。

暇だから故郷についてつづる。「ジャガイモエキスの上澄み液①」

高校時代は、かなり文化的な生活を営んでいた。

 

高校入学当初、僕は運動部に入ってイケイケな高校生活を送ろうとしていた。運動部に入っておけば、とりあえず女子にモテる可能性が上昇するという男子特有の短絡的発想だ。ボールを追いかける僕の額からはきらきらした清潔な汗が流れる。フェンスの向こう側には僕の活躍をひと目見ようと、僕のファンが集まる。

先生からも気に入られ、東京大学も余裕で圏内の学力を有し、スポーツ万能。文武両道の文字がこんなにもぴったりな少年はいない。しかもモテモテ。そう言わしめるのが、高校時代に僕が密かに抱いていた野望だった。

しかし、現実というものはそうはうまくいかない。たいてい、自分がこうであってほしいと描く希望というものは、人生の名の下に確実に打ち砕かれる運命にある。だから、僕は基本的にネガティブシンキングだ。極限にまでネガティブ思考を極めていると、それ以上に悪いことは、まず起こらない。(そんな気がする。)

 

当時所属していた学習塾のチャラめの先生に「文化部入りなよぉ!自然科学部生物班がオススメだぜぇ!勉強しないとだめよぉ!」と言われ、僕は「は、はぁ」と気の抜けた返事をし、名前だけは厳かな自然科学部生物班という部活に入部することを決めた。入部すると、僕と同じように、塾のチャラ講師に誘導された高校1年生の少年たちが集まって部室でゲームの話をしている。彼らのことを僕は愉快な仲間たちと呼ぶ。

 

部活に入部してから、約2年半、僕と愉快な仲間たちはほとんど部活をしてこなかった。それを見かねた顧問からは、何度も説教を受けたが、僕たちは懲りずに、部活動からいかにして脱出するかという、ハリウッド映画顔負けの大脱出劇を2年半構想しつづけた。

自然科学部生物班という部活は所属したからには、グループに分かれて生物系の研究をしなければならない。我々の部活では代々、プラナリアの記憶に関する研究が行われていて、基本的にはそのプラナリア研究に従事するのが一般的である。しかし、独創性を追求し、他力本願をスローガンとする僕と愉快な仲間たちは、部活をやることよりも、いかにして早く家路につくか。帰り道、夕日を背にどれほど充実した時間を過ごせるか。それらに命をかけ、青春を捧げていた。そんな僕たちはいつしか自然科学部帰宅班という新しい枠組みを生み出していた。

 

母校において、我々は歴代最高峰に部活を怠けたと自負している。夏休みに一度も部活に訪れず、顧問の先生に「前代未聞の所業なり」と言わしめたほどである。プラナリアを熱心に研究している自然科学部生物班からは、「怠け者たち」思われていたはずだ。実際に言われたことはないが、彼らの目がそう言っていた。

 

部活に居場所をなくした、僕と愉快な仲間たちは高校3年生になり、さすがに部活の歴史に爪痕でも残しておくかと、しぶしぶ研究計画を立て始めた。そして計画会議を始めて、約30秒後、リーダー格の男が「いっちょペニシリンでもつくるか」と提案し、反対意見はなく、ペニシリン生成案は無事議会を通過した。

 

日曜劇場「JINー仁ー」というドラマで、ペニシリンを青カビから作り出していたのを知っていた僕たちは、手始めに青カビ培養の支度に取り掛かった。学校近くのスーパーで買ってきた食パンに水を吹きかけ、日当たりの悪い場所に置いておくと、パンの表面に数日でカビらしき姿が現れる。問題は、そのカビたちをどうやって培養するかだ。

高校生にもなれば、寒天培地という言葉を聞いたことがあるはず。

そこで、今回のテーマにもある「ジャガイモ」が登場するのである。