アオヤマ日記

男子大学生がTwitterでは伝えきれないこと、ふと心に浮かんだことなどをゆる~く書いていこうと思います。

煙草。

 侍の国日本。比較的平和なこの国で僕が精神的に破滅しそうになるのは、激しい便意に襲われた時です。先日、札幌を拠点として同級の友人たちと北海道を10日間ほど旅していました。旅も終わりに近づき、帯広駅で豚丼を腹一杯食べた後のことです。帯広から札幌に向かうには数十キロも便所がない山道を車で走らなければなりません。困ったことに僕の体は食べ物を摂取すると、たちまちに便意を催してくる非常に単純な構造をしています。僕の期待に応えて、今回も便意は予告も無しにやってきました。

 はじめ、僕は山道を恐れていました。便所がない。それだけで、この世界は十分すぎるほど僕を地獄に叩き落とします。山道。地獄のハイウェイです。僕は運転手に次の街までどのくらいか尋ねました。20キロ。耐えられるわけがありません。僕は運転手に、山道で止まってくれと頼み込みました。運転手は一瞬躊躇しましたが、すぐに止まれる場所を見つけてくれ僕たちの車は北海道の大自然の中で静かに停止しました。その後、僕は人目につかない森に入り静かに用を足しました。周囲には何かの動物の糞がコロコロ転がっていたので、僕自身も妙な安心感を覚えました。

 

 この話は、僕と旅行に行った同級の友人たち5人と両親しか知りません。

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 旅行から戻った僕は道玄坂にある居酒屋で小学校の同級生たちと酒を飲んでいました。酒は日々嗜んでいる身なので、苦手では無いのですが、尿意が通常の5倍に感じられるようになります。あるいは、酒を飲むときだけ、膀胱が小さくなるのか。10分に1回くらいは便所へ行き、小便をしていました。小便をした後は、便所の壁の鏡に向かって、変顔を披露し、酔ったなぁとつぶやいた後、手を洗いました。便所から戻ると、同級生たちの笑い者になり、僕も小便に行くだけで人を笑顔にさせることができるのかと、我ながら自分の力量に惚れ惚れしました。

 僕が自分の尿意以上に驚いたのは、飲み会に参加した僕以外の男たちが皆、煙草をスパスパ吸うようになっていたことです。ある男は、30分遅刻してきたのにもかかわらず、居酒屋に着くやいなや、ビニールに包まれた新品の煙草箱を取り出し、慣れない手つきで包装をはがし始めました。お茶目。昔から、お茶目な男でした。成人式で再会した時も、本来の自分に無理に歯向かって格好をつける。本当は優しい子なのに、ちょっと悪びれた成人を演じる。人間らしい。その友人からは人間らしさがにじみ出ていました。

 数ヶ月前、僕は彼のことを成人式の記事に綴りました。彼には内緒にして、彼の成人式の立ち振る舞いを書いてしまいました。その記事を読んだ彼と他の友人たちは、すぐに気づいたらしく、酒を飲みながら「あれは俺のことだろう?」と尋ねられ、僕も少しきまりが悪くなりましたが嘘はつけず「そうかもしれない」と曖昧な返事を返しました。内心、怒られるかもしれないと思っていましたが、優しい彼は怒らず、煙草を吸いながら「今日のことも書いてくれ」と笑いました。ありがとう。僕は彼に直接言えませんでしたが、心の中では申し訳なさと感謝の気持ちが混合した感情が湧いていました。

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「ドンキであけた」

僕の隣に座った別の友人の耳には穴が開いて、銀色のピアスが輝いていました。

彼は最初、煙草を吸っていないと嘘をつきました。その嘘は、受動喫煙とともに見破られ、受動喫煙の煙に興奮した彼も箱から1本煙草を取り出し吸い始めました。

 僕は昔、彼と喧嘩をしたことがあります。小学3年か、4年の時のことです。体育の時間に2人は運動場で寝転がりながら、子犬の喧嘩のような可愛い遊戯を繰り広げていました。原因は覚えていませんが、最後は先生に叱られて2人でおいおい泣きました。泣きながら、僕は保健室に行きました。

 その後は彼とは1度も喧嘩をしたことがありません。成人式で再会した時は明るい好青年になっていて、うらやましく思ったことを覚えています。

 今回の飲み会の二次会後、彼は小学時代の同級生の女性のうちへ、その女性とともに向かいました。その後の経過が気になりますが、ここは大人の事情。深く踏み込んではいけないのです。

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結局、僕が同級生たちとの飲み会で発見したのは受動喫煙で吸う煙は心地良いということです。僕は少し変わっています。それは生まれつきだから仕方ないのです。受動喫煙は体にとても良くないことは百も承知です。なのに、僕はその煙を鼻の穴から勢いよく吸い、はぁと息を吐き出す心地よさに気づいてしまいました。一緒にいた他の同級生に叱られました。お前は馬鹿かと。

 「煙草は吸わないが、煙草と酒と小説があれば、文豪っぽくてかっこいい」

僕はその同級生に馬鹿と言われぶたれました。

 僕の通学路にも喫煙所があります。喫煙者のオアシス。そして秘かに僕の楽しみでもある。だけど、僕は自分の肺を黒くはしたくないので、渋々息を止めてそこを通るようにしています。

明日からまた大学が再開されます。

受動喫煙と僕の淡い恋。決して結ばれてはいけない2人。さようなら、煙。